二〇一〇年、七月三十一日。僕らの合戦は幕を閉じた。

「今日は疲れたねえ」
 健二は濡れた髪をタオルで拭いながら佳主馬に笑いかけた。あらわし落下直後、心身共に疲れ果てて眠り込んでいた二人は日付が変わるすこし前に目覚め、そろって入浴した。まだ佳主馬の髪は健二同様しっとりしている。
 他の者は二人と入れ違いに眠ってしまったのか、辺りはしんと静まり返っていた。
「あの、佳主馬くん」
 自分の声がやたら大きく感じた健二は慌てて口を噤んだ。
 佳主馬は首を傾げ、なに? と健二を見上げる。タオルでぐしゃぐしゃにかき回された髪の毛は四方八方に散らばり、露わになった両目はいつもより幼い。そう感じるのは無防備な涙を見たからだろうか。健二はくすぐったい気持ちになりながら、へらっと気の抜けた笑みを浮かべた。
「今日、一緒に眠ってもいいかな」
「なんで」
 眉を顰めた佳主馬に健二はしどろもどろ「なんか興奮して寝れなそうだし」と言い訳し、早口に「それにね」と続けた。
「もっとゆっくり佳主馬くんと話したいなあって」
「ふーん……」
 佳主馬はタオルを肩にかけ、適当に髪を撫でて整えた。
「いいよ。一緒に寝よう」
「ありがとう……!」
 二人分の足音が澄んだ空気に溶けていく。
 今日の星空は、きっと、どの空よりもきれいだ。